2025年に開催される大阪・関西万博。そのシンボルとして注目を集めているのが、巨大な木造建築「大屋根リング」です。「あれって何ができるの?」「どんな意味があるの?」「設計したのは誰?」——そんな疑問にお答えするため、本記事では大屋根リングの魅力を徹底解説!
建築の秘密から体験できるアクティビティ、設計者・藤本壮介氏の想いまで、まるっとわかる内容になっています。家族で行く人も、建築に興味がある人も、ぜひ参考にしてください!
未来をつなぐ象徴「大屋根リング」とは?その基本構造と設計のコンセプト
大阪万博2025のシンボル「大屋根リング」とは
2025年に開催される大阪・関西万博の会場でひときわ目立つ存在が、直径約615メートルの巨大な木造建築「大屋根リング」です。この建築物は、会場全体をぐるりと取り囲むように設計され、訪れた人々を包み込むような構造になっています。リングの幅は最大30メートル、高さも高いところで12メートルに及び、世界最大級の木造建築とされています。
このリングは単なる「屋根」ではありません。人が実際に歩ける回廊として設計され、上を歩いて会場を一望することも可能。万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」を象徴する存在として、訪れた人々が“未来”を体験するための出発点となる空間です。
世界最大級の木造建築ができるまで
大屋根リングは、直径615メートルという驚異的なスケールを持ちながらも、環境への負荷を最小限に抑えるように配慮された設計になっています。主に国産の杉材やヒノキを使用し、鉄骨と組み合わせることで耐震性や安全性を確保。日本の伝統的な建築技術と最新の構造工学が融合された結果、生まれた革新的な建築物です。
また、建築資材には解体後の再利用が考慮されており、「未来に残さない建築」という、万博終了後のサステナブルな思想も込められています。
建築界の巨匠・藤本壮介氏のデザイン哲学
この大屋根リングを設計したのが、日本を代表する建築家・藤本壮介氏です。彼は「自然と建築の境界をあいまいにする」ことで知られており、今回の大屋根リングにもその哲学が色濃く反映されています。
リングは、まるで森林の中に迷い込んだような自然な佇まい。木の温もりを感じながら、都市と自然の共生を象徴するデザインが施されています。
サステナブル建築としての挑戦
大屋根リングは「つくって終わり」ではありません。自然と共存する万博の象徴として、建築自体が持続可能性を体現しています。ソーラーパネルによる発電、雨水の再利用システム、建築資材の再利用といった仕組みが組み込まれ、「未来社会」を建物で表現する実験的建築でもあるのです。
「リング」が象徴するものとは?
この「リング」という形状には深い意味があります。円は「つながり」「永遠」「循環」を象徴し、多様性と調和の未来社会を表現するのにぴったりの形です。また、リングは万博会場を囲むことで、人々を包み込み、つなぎ、未来へと導く役割も担っています。
「大屋根リング」で体験できる未来のアクティビティ5選
自然と共存する天空の森「リングの森」
大屋根リングの上には、木々や植物が植えられた「リングの森」という空間が広がっています。ここは単なる屋上庭園ではなく、気候や環境に配慮して設計された“未来の都市緑化”のショーケース。訪れる人は、空の上で森林浴を楽しみながら、自然との共生を体感できます。
歩きながら香る花々、揺れる葉音、昆虫や鳥の姿も見られるかもしれません。このリングの森では、最新の植物育成技術や自動散水システムも導入されており、テクノロジーと自然の融合が楽しめます。
最新技術で未来都市を体感!AR・VR体験ゾーン
リング上にはAR(拡張現実)やVR(仮想現実)を活用した体験エリアも設置されており、専用のゴーグルやアプリを通して、未来都市のビジョンを体験できます。自分の目の前に3Dで出現する都市模型や、バーチャル案内ロボットによるガイドなど、まさに“未来を歩く”感覚です。
テクノロジー企業や大学が協力して開発したこのエリアは、教育的な要素も多く、子どもたちにとっても楽しく学べる空間となっています。
インタラクティブな光と音の演出
夜になると、大屋根リングは光と音のインスタレーションで彩られます。リング全体がLEDで照らされ、音楽と連動したショーが展開される演出は、まるでSF映画のワンシーンのよう。訪れる時間によって演出が変わるため、何度行っても新鮮な感動があります。
また、センサーによって人の動きを感知し、光や音が変化するインタラクティブな仕掛けも取り入れられており、まさに「人が参加して完成する空間」です。
大屋根の上でピクニック!?自由空間の魅力
リングの上部には、自由に座ったり寝転んだりできる「くつろぎエリア」も設置されています。日中はお弁当を持ち込んでピクニックを楽しんだり、ベンチでのんびりと景色を眺めたりと、まるで公園のように使える場所です。
観光で歩き疲れたときの休憩場所としても重宝し、家族連れやカップルにも人気となること間違いなしです。
夜は一変、ライトアップされた幻想的な空間へ
日が沈むと、大屋根リングは幻想的なライトアップによって全く違う表情を見せます。太陽光発電によるエネルギーで点灯されるライトは、エコでありながらも未来感を演出。プロジェクションマッピングによる演出も予定されており、夜の万博会場はとてもロマンチックな雰囲気に包まれます。
大屋根リングの下に広がるテーマ別パビリオンゾーン
いのちを育む「いのちの広場」
大屋根リングの中心に位置するのが、「いのちの広場」と呼ばれるエリアです。ここは万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」を最も象徴する場所で、訪れた人が“いのち”の本質や未来を考えるきっかけとなる体験が用意されています。
実際の広場では、インスタレーションアートやサイエンス展示など、五感で感じるコンテンツが展開され、環境、医療、福祉など多様な「いのち」に関わるテーマを扱っています。特に注目されているのは、リアルタイムで成長する植物アートや、AIと連携した対話型映像展示などで、大人も子どもも感動できる内容となっています。
国際色豊かなパビリオンとその魅力
大屋根リングの下には、世界各国のパビリオンが立ち並び、それぞれの国が「未来社会」をテーマに展示を行っています。たとえば、気候変動への取り組みを紹介する北欧のパビリオン、伝統と未来の融合を体現する中東のパビリオンなど、各国の特色を活かしたデザインと体験が魅力です。
以下の表にいくつかの代表的なパビリオンの特徴をまとめました。
国名 | 特徴 | 体験内容 |
---|---|---|
日本 | 自然と先端技術の融合 | 和の空間演出とAR体験 |
フランス | アートとサステナビリティ | 体験型アート展示 |
UAE | 水資源の未来を表現 | 未来の農業システム体験 |
スウェーデン | 脱炭素社会の実現 | スマートシティ展示 |
このように、世界を一周するような気持ちで、様々な価値観と未来の可能性を体験できるのが魅力です。
フードエリアで味わう各国のグルメ
パビリオンの間には、多国籍なフードエリアも設置されています。各国料理を本格的に楽しめる店舗が立ち並び、「世界の食を味わいながら旅する」感覚が楽しめます。定番のハンバーガーやパスタはもちろん、エスニック料理やビーガン対応のメニューなど、未来の食生活に配慮されたメニューが多いのも特徴です。
また、大阪・関西エリアの地元グルメゾーンも併設されており、たこ焼き、お好み焼き、串カツなどの「粉もん文化」も満喫できます。
子どもも楽しめるファミリー向けスペース
子ども連れの来場者向けに設けられたのが、ファミリー向けスペースです。屋内には涼しい休憩所や授乳室、子ども向けワークショップがあり、屋外には遊具を備えたキッズパークも用意されています。特に人気なのが、未来の乗り物を模した乗り物体験エリアで、未来の公共交通を子どもたちが体験できるようになっています。
教育要素も取り入れられており、「遊びながら学ぶ」ことができる設計がされています。万博を通して子どもたちの好奇心を刺激し、将来の夢に繋がる体験になるかもしれません。
地域連携・大阪の魅力を発信する場
大阪・関西エリアの地元自治体や企業が出展する地域連携ゾーンでは、「地元の未来」をテーマに展示やワークショップが行われます。伝統工芸や観光資源を未来の技術で再解釈した展示なども多く、訪れる人に「日本の魅力」を再発見させてくれます。
また、地域食材を使った料理やスイーツ、工芸品の実演販売などもあり、まるで地域の文化祭のような賑わいです。大阪万博を「大阪だけでなく日本全体を知る場」として楽しめるのが、このゾーンの最大の魅力でしょう。
サステナブルな未来建築としての大屋根リングの秘密
環境にやさしい国産木材の使用
大屋根リングの最大の特徴のひとつが、国産木材を活用した巨大な木造建築である点です。使用されているのは主に杉やヒノキなどの国産材。これにより、輸送時に発生する二酸化炭素排出を抑えつつ、国内林業の活性化にもつなげています。
木材は建築材としては再評価されつつあり、鉄やコンクリートに比べてCO₂の吸収量が高く、カーボンストック効果も期待されます。建築に使われた木材が、CO₂を固定したまま構造物として存在し続けることで、環境負荷を軽減する「動かないエコ」が実現できているのです。
また、木材特有の温かみあるデザインも、人々の心を落ち着かせ、都市空間に自然のやすらぎを取り戻す効果を持っています。
太陽光発電や雨水循環システムの仕組み
大屋根リングには、環境保全を目的とした再生可能エネルギーの利用も取り入れられています。リングの上部にはソーラーパネルが設置され、太陽光発電によって電力を自給。この電力はリング内の照明や一部展示エリアの電源として利用され、クリーンエネルギーの実用例として注目されています。
さらに、雨が降った際には屋根に集まる雨水を地下の貯水タンクに蓄え、植物への自動散水やトイレの洗浄水として再利用する「雨水循環システム」も完備。こうしたエコ技術の導入により、リング自体が「生きたエコ装置」となって機能しているのです。
解体後の再利用計画まで考えた設計
一般的な建築物は、解体時に多くの廃棄物を出してしまいますが、大屋根リングは万博終了後の“その先”まで設計に取り入れています。使用されている木材や部品は組立・分解がしやすいモジュール構造になっており、再利用や移設を想定した設計です。
例えば、地域の公共施設や学校などへの木材再配分、地方自治体の拠点建築としての転用など、サステナブルな次の使い道が議論されています。「未来に残す建築」ではなく「未来へ引き継ぐ素材」として、大屋根リングは特別な使命を背負っているのです。
カーボンニュートラルを目指す万博の取り組み
2025年の大阪・関西万博は、「カーボンニュートラル万博」を目指しており、その象徴がこの大屋根リングです。会場全体では再生可能エネルギーの導入、EV・水素バスの導入、ごみの分別回収などを徹底しており、来場者も持続可能な社会づくりに参加できるよう設計されています。
下記に、万博で導入される主なエコ技術を一覧表で示します。
エコ技術 | 内容 | 目的 |
---|---|---|
ソーラーパネル | 屋根上に設置 | 自然エネルギー活用 |
雨水リサイクル | 雨水をトイレ・植物へ再利用 | 水資源の有効活用 |
モジュール構造 | 分解・再利用しやすい設計 | 廃棄物の最小化 |
電動バス | EV・水素バスの導入 | CO₂削減 |
ごみ分別ステーション | 来場者による分別 | ごみゼロへの挑戦 |
こうした取り組みにより、建物ひとつひとつが「環境教育の場」としての役割も果たしているのが印象的です。
世界が注目する日本の建築技術
この大屋根リングの実現には、日本の建築技術がふんだんに活かされています。木材の耐久性を高める接合技術や、複雑な湾曲構造を精密に再現するCAD設計など、世界に誇る技術の集大成とも言える存在です。
海外の建築専門家からも注目を集めており、「日本ならではのサステナブル建築」として高く評価されています。伝統と革新を融合させた大屋根リングは、世界の建築トレンドに新たなインスピレーションを与える存在となるでしょう。
設計者・藤本壮介氏とは?世界が認める建築家の素顔
世界で活躍する建築家・藤本壮介とは
藤本壮介(ふじもと そうすけ)氏は1971年、北海道生まれの建築家です。東京大学工学部建築学科を卒業後、2000年に「藤本壮介建築設計事務所」を設立し、瞬く間に世界的な注目を集めました。
彼の作品は、「自然と都市の調和」「自由で流動的な空間」が特徴であり、伝統と未来を結ぶ独自のデザイン哲学に多くのファンがいます。ヨーロッパを中心に公共建築から住宅まで幅広く手がけており、その先進的で詩的な建築スタイルは、建築界で高い評価を受けています。
2013年には、フランス・モンペリエで行われた国際建築コンペ「白い樹(L’Arbre Blanc)」で最優秀賞を受賞し、世界のトップ建築家としての地位を確立しました。
大屋根リングに込めた思い
藤本氏が手がけた大阪・関西万博の「大屋根リング」は、彼の哲学が全面に反映されたプロジェクトです。彼はこのリングを「空間を囲い込むのではなく、ひらかれた輪」として設計しました。
都市と自然、人と人、過去と未来を「つなぐ象徴」として、このリングは単なる建築ではなく、万博そのもののアイデンティティを体現しています。人々が自由に歩き、感じ、交流するための舞台として、藤本氏は「建築は“器”であり、完成するのは人の活動によってだ」と語っています。
藤本作品に共通する「自然との共生」
藤本壮介氏の作品には、常に「自然との共生」というキーワードがあります。彼はコンクリートやガラスなどの冷たい素材ではなく、木や光、風などの“自然的要素”を積極的に取り入れることで、「建物を自然の一部にする」ことを目指しています。
たとえば東京・武蔵野美術大学の図書館では、木造の本棚が建物全体を構成しており、まるで森の中にいるような感覚を与えます。こうした空間は、訪れる人に安心感やぬくもりを与えるだけでなく、都市生活に自然を取り戻す試みとしても注目されています。
万博以外の代表作をチェック!
藤本壮介氏の代表作には、国内外を問わず印象的な建築が並びます。以下に一部を紹介します。
作品名 | 場所 | 特徴 |
---|---|---|
House NA(NA邸) | 東京都 | 透明ガラスと白い骨組みで構成された開放的な住宅 |
L’Arbre Blanc(白い樹) | フランス・モンペリエ | 巨大なバルコニーが木の枝のように広がる集合住宅 |
武蔵野美術大学図書館 | 東京都 | 木材とアーチで森のような空間を演出 |
Serpentine Pavilion 2013 | イギリス・ロンドン | 霧のように広がる白い構造体が話題に |
House N | 大分県 | 3重の箱構造でプライバシーと開放感を両立 |
これらの建築はいずれも、“空間をどう生かすか”“人の暮らしとどうつなげるか”を深く考えた設計がなされており、ただのデザイン性だけでなく、使う人のことを真剣に考えた建築であることがわかります。
次世代へつなぐ建築の在り方
藤本壮介氏が常に意識しているのは、「今ある建築をどう未来へ引き継ぐか」という視点です。万博の大屋根リングも、「終わったら壊してしまう」ものではなく、「次にどう活かすか」を前提に設計されています。
彼の考える未来の建築とは、「環境と共に呼吸し、人々とつながり続ける建物」。固定された構造ではなく、変化し続ける空間。その柔軟な発想は、これからの都市設計やまちづくりに大きな影響を与えることでしょう。
まとめ
大阪・関西万博2025のシンボルともいえる「大屋根リング」は、ただの巨大建築物ではありません。それは未来を象徴する舞台であり、人と自然、都市と環境、過去と未来をつなぐ「輪」そのものです。
このリングでは、森のような空間で自然とふれあい、最新技術を駆使した未来体験ができ、世界中の文化や食を楽しむことができます。建物自体もサステナブル建築の先端を走っており、再生可能エネルギーや再利用可能な素材がふんだんに使われています。
そして何より、このリングを設計した藤本壮介氏の哲学が、全体を貫いています。自然と建築の共存、人の活動で完成する空間…。その思想が大阪万博という一大イベントを通じて、多くの人に伝わっていくでしょう。
訪れる人すべてが、未来に希望を持ち、考え、行動するきっかけを与えてくれる「大屋根リング」。あなたもぜひ、その中を歩きながら、未来のかたちを体験してみてください。
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